せいぶれいえんコラム

2018/09/14
第35回「お盆に関する話」

せいぶれいえんコラム 第35回「お盆に関する話」

 
こんにちは、西部霊苑です。
お墓参りや季節のことなど、何かのお役にたてる情報を発信していければと思います。
第35回となる今回は、前回の長崎の精霊流しのお話から少し広げる形で、お盆に関係したあれこれをお話させていただきます。
 

西方とは

 
精霊船の船の上部にある帆に見たてた部分や、船の先頭部分であるみよし部分には西方、または西方丸と書かれているものを見かけることがあります。
この西方とは、仏教で言われる西方浄土、または西方極楽浄土からきているようです。
太陽は東から昇り西に沈みます。このことから仏教では、東を生、西を死の象徴として例えることがあり、阿弥陀経では阿弥陀如来さまのいらっしゃる死者が向かう浄土は西方であるとされています。
こうしたことから西方浄土といった考え方があり、故人を極楽浄土に送り出す精霊船に、西方、または西方丸といったことが書かれるようです。
 

もやい

 
前回精霊船の種類として少しお話しましたが、精霊船には個人の家庭で出す『個人船』と、町内会や葬儀場などから出す『もやい船』の2種類があります。
この『もやい』とは漢字で催合、または模合と書きます。
もやい船という言葉の使われ方からもわかるように、共同のもの、といった意味があります。
最近は感じづらくなりましたが、日本では昔から地域社会の人々が協力して伝統的行事を行う風習があり、催合とはまさにこうした風習を表す言葉です。
似たような言葉として『結(ゆい)』という言葉があります。こちらはもう少し小規模な人の集まりにおいて使われる言葉で、共同で生産的活動を行うことを指すようです。
また、もやいを『舫い』とした漢字で表わすと、こちらは船を港につなぎとめておくことを表す言葉になります。
 

菰

 
菰(こも)は筵(むしろ)ともいい、その素材もい草以外に藁(わら)で編んだものも同じように言います。
初盆で故人の精霊船を出さない場合(初盆でない場合)は流し場に菰に包んだ花や果物といった故人のための供物を包んで持っていきます。
菰とは荒く編んだい草のことを言います。
全国では長崎の精霊流しや、灯篭流しのような行事と同じように、菰に包んだ供物を流し場に持っていき故人を弔う風習がある所も多くみられます。
自宅でお盆のお供えものを菰の上に並べる風習がある所もあります。
菰には細かくはすこし荒目に編まれている『真菰(まこも)』と細めのい草で編まれた『葦菰(いこも)』といった違いもあります。
特に用途の違いはありませんが、お供えものの下に敷く場合は葦菰が使われる場合が多いようです。
 

ひまわり

バックナンバー

アーカイブ

カテゴリ