せいぶれいえんコラム

2024/03/23
第115回「春のお彼岸」

 

こんにちは、西部霊苑です。お墓参りや季節のことなど、何かのお役にたてる情報を発信していければと思います。
さて3月も終わりが近づき、お彼岸とともに春の訪れを感じさせる時期となってきました。
今回は「春のお彼岸」についてお話させていただこうと思います。

 

【春のお彼岸とは

彼岸とは苦しみの多い私達の世界・此岸に対し、仏様がいらっしゃる極楽浄土・彼岸のことを指す言葉とされているようです。
太陽が真西に沈む春分・秋分の日はこの西方極楽浄土いるご先祖様と思いが伝わるとされ、日本では大切な仏教行事とされています。
またお彼岸がこの春分・秋分の日を中心に7日間とされる由来は、彼岸に至るために必要な徳を得るための修行が6つあるとされ、これを春分・秋分の日の前後に3日ずつ行うことが由来のようです。

国立天文台での計算で地球と太陽の動きは数年先までのおおよその春分の日・秋分の日にあたる日の予想がされてはいるようですが国民の祝日としての春分の日・秋分の日は毎年固定で定まってはおらず、おおよそ毎年3月20日から21日のどちらかがその年の春分の日・秋分の日して前年の2月1日に発表されます。

 

【一般的なお彼岸の風習】

一般的にお彼岸はご先祖様供養の意味のある行事です。
お彼岸にはお墓参りや仏壇に春は牡丹餅、秋はおはぎをお供えします。牡丹餅とおはぎはどちら炊いたお米、または蒸したお米をつぶして丸めたものに小豆を甘く煮たものをあんにしてそのまわりを覆ったものです。
小豆は元は中国などからその赤さから魔除けの効果のあるものとして伝わってきたようで、これを用いて作られるお供えもの、ということになります。
小豆は秋の時期に獲れるため新しい小豆はそのままつぶあんとして使われ、秋のお供えもののおはぎはつぶあん、春のお供えものの牡丹餅はこしあんとなったそうです。

この他に御霊膳・御霊供膳(おりょうぐぜん・おりくぜん)といったものをお供えすることもあります。御霊膳とは仏様やご先祖様にお供えするお膳で、祭壇、盆棚、お膳の台などに5つの精進料理をそれぞれ器に盛り、箸とともに飾りお供えするものです。
お供えの際にはご先祖様のいるお仏壇のほうを向けお供えするとされています。

各地のお寺ではお彼岸法要として檀家さんが集まり焼香やお経をあげる行事が行われることも多く見られます。
またご自宅に僧侶をお招きしてお経をあげてもらう場合もあります。

 

【日本各地のお彼岸の風習】

このような一般的なお盆の風習に加え日本各地では地域ぐるみの特徴的な行事も行われることがあるようです。
例えば、新潟県魚沼ではお盆のようにお彼岸の期間のはじまりと終わりに河原で藁の塔を燃やす風習、北秋田ではお墓や山の尾根、川沿いで先祖供養のためのダンボというたいまつをともす合川万灯火(まとび)、大阪府大阪市の四天王寺で行われている金堂の湧水でお経木きょうぎ流し(塔婆とうば流し)、九州の阿蘇山のふもとでは彼岸籠(ひがんごもり)という山登りなどが各地で行われているようです。

またこの彼岸の風習はご先祖様供養の仏教的な面とともに農耕文化の広がりに合わせて各地に広がったことから、春の訪れなど季節移り変わりを知らせるものとして受け入れられていった経緯があるようで、季節や娯楽を含む行事として、福島県会津で行われている春の訪れと豊作、家内安全を祈願し三体の獅子と舞が市内を練り歩く会津彼岸獅子、広島県熊野では筆の生産が有名なことにちなんだ筆まつり、島根県大田市の彼岸市・中日つぁんでは全国から多くの露店が集まりお祭りのように盛り上がる、と言ったことも行われているようです。

 

暑さ寒さも彼岸までとも言われるようにご先祖様供養、そして季節の行事として私達の文化に深く根付き、親しみあるお彼岸。
改めて季節の恵みとご先祖様に感謝の気持ちを持つ機会にしていただければと思います。
それでは次回コラムもよろしくお願いします。

 

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